なぜ組織は同じ問題を繰り返すのか?──ReactiveからPreventiveへの転換

仕事をしていると、同じような問題が何度も起きることがあります。

納期の遅れ、情報の行き違い、手作業によるミス、担当者が変わるたびに発生する混乱。問題が起きるたびに誰かが対応し、何とか収束させる。しかし、しばらくするとまた似たようなことが起きる。

こうした状況を見ていると、私はいつも一つの疑問を持ちます。

「なぜ、その問題が起きない仕組みをつくらないのだろう?」

目次

問題を解決することと、問題が繰り返されないことは違う

目の前のトラブルを素早く解決することは、もちろん重要です。顧客への影響を最小限に抑え、業務を止めない。そのために経験豊富な人が動くことも必要でしょう。

ただ、それだけでは組織は強くなりません。

特定の人の経験や頑張りに頼っている限り、その人がいなくなったときに同じ問題が起きる可能性があります。問題への対応が上手な組織と、問題が起きにくい組織は、必ずしも同じではないと思っています。

私はこの違いを、Reactive Operations(問題が起きてから対応する業務)とPreventive Operations(問題を未然に防ぐ業務)という考え方で整理しています。

改善の出発点は、People・Process・System

問題が起きたとき、つい「担当者の確認不足」や「教育が足りない」という話になりがちです。しかし、本当に人だけが原因なのでしょうか。

私は課題を見るとき、まず次の3つを確認します。

  • People:役割や責任は明確か。関係者の認識は揃っているか。
  • Process:業務の流れに無理や曖昧さはないか。例外処理が属人化していないか。
  • System:必要な情報が見える状態になっているか。手作業を減らし、ミスを防ぐ仕組みがあるか。

例えば、毎日Excelを更新して状況を確認している業務があるとします。Excelそのものが悪いわけではありません。ただ、誰かが毎日ファイルを開き、データを更新し、異常に気づくことを前提にしているなら、改善の余地があるかもしれません。

システムから必要な情報を確認できるようにする。異常を早い段階で把握できるようにする。担当者が変わっても同じ品質で運用できるようにする。

こうした小さな変更の積み重ねが、問題を繰り返さない組織につながると考えています。

グローバルのベストプラクティスも、そのままでは動かない

これまでグローバル企業の業務やシステムに関わる中で、日本の現場の要件とグローバルの標準プロセスが合わない場面を見てきました。

グローバルの仕組みを導入すること自体が目的になってしまうと、現場では別のExcelや手作業が増えることもあります。反対に、日本独自のやり方を守るだけでは、改善の機会を逃してしまう。

大切なのは、どちらが正しいかを決めることではなく、目指す姿を明確にし、関係者と認識を揃え、実際に動く仕組みに落とし込むことだと思います。

そのために私が重視しているのが、Think Clearly. Align People. Execute Change. という3つのステップです。

まずは、繰り返している問題を一つ選ぶ

組織全体を一度に変える必要はありません。むしろ、最初から大きな変革を目指すと、議論だけで終わってしまうことがあります。

まずは、毎月のように起きている問題や、特定の担当者がいないと回らない業務を一つ選ぶ。そして「誰が対応するか」ではなく、「なぜ対応が必要になるのか」を考えてみる。

その問題が起きる条件を見つけ、People・Process・Systemのどこに手を入れれば再発を減らせるのかを考える。小さく試し、結果を確認し、必要なら修正する。

地味な取り組みに見えるかもしれません。でも、私はこうした改善こそが、組織の実行力を高め、働く人の時間を取り戻すことにつながると考えています。

問題を解決する力だけでなく、問題を繰り返さない仕組みをつくる力へ。

Cypher for Businessでは、このReactiveからPreventiveへの転換を、現場で実行できる形にしていきたいと考えています。

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この記事を書いた人

Cypher holdings 代表取締役 / AI × マネジメント × グローバルリーダー

AIとマネジメントの融合を通じて、企業の成長とリーダーの育成を支援する専門家。カナダ・トロント生まれ。多文化環境で育ち、異なる価値観を理解しながらグローバルビジネスの知見を深める。カナダのMcGill大学でMBAを取得。

外資系企業での15年以上のマネジメント経験を経て、AI、デジタル戦略、グローバル経営の専門知識を活かし、Cypher holdingsを設立。現在は、企業のDX推進、リーダーシップ開発、海外戦略支援を通じて、変革をリードするリーダーや組織の成長をサポートしている。

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